研究内容
植物資源創成システム研究グループは,先進的な技術を利用した,新しい形の生物生産をめざしています。
ことを目標に研究を行っています。
「植物工場」とは,植物をとりまくあらゆる環境を制御できる植物栽培用の施設です。どんな地域でも,どんな季節でも,好きなときに農作物を手に入れることができます。しかし植物工場は,建設や作物生産に多くの費用がかかります。
私たちはクスリの原料として高価に取引される薬用植物の栽培技術の開発について研究しています。最も良く成長する条件のほか,通常では生じえない特異な環境のもとで育てると,薬用成分を大量生産する場合があるので,そのような条件についても調べています。
また,冷暖房の経費を抑えるために,自然エネルギーである地中熱を利用する方法についても研究しています。
植物工場で薬用植物を育てるための研究
光の色を変えて,薬用成分を多くつくる条件を探す
地中から熱を取りだして冷暖房を行うシステムの研究
植物は外的環境や病害などから身を守るために、生理活性を有する二次代謝物質を産生しています。二次代謝物質の中でも薬理活性を持ち、化粧品や医薬品の素材になりうる物質が有用物質、そんな有用物質を産生するハーブや薬用植物を総称して有用植物と呼んでいます
これら有用植物の中には、生育に長く時間がかかるものや、乱獲や環境変動によって絶滅が危惧される種もあります。そのため、ターゲットの有用物質を施設内で効率的に大量生産できる手法として、植物組織培養が古くから注目されています。植物組織培養手法を用いることで、持続して効率的に有用植物が産生する有用物質を大量生産することが可能になります。具体的には、植物の小片を様々な植物ホルモンや糖、無機塩類を含む培地で培養し、脱分化組織(カルス)やそこから再分化した芽や根を大量増殖させ、さらに有用物質の産生能を向上させる外的環境(温度、光など)や物質を探索します。
薬用植物の培養小植物体
液体振盪培養による物質生産実験
ビタミンや抗生物質など、私たちが栄養や薬として利用している有用な化合物の多くは、植物や微生物によって作られています。例えば、菌類と藻類が共生した地衣類という生物は、リトマス紙や染料・香料の原料となる独特な化合物を作ります。このような有用な化合物を大量に作る方法の一つにバイオテクノロジーがあります。例えば、化合物の合成や蓄積に関わる遺伝子が分かれば、より成長の速い生物に導入することで、新しい機能を持った生物による効率的な物質生産が可能になります。現在は、次世代シーケンサーと呼ばれる最先端の機器を活用して、農業や健康に役立つ遺伝子を見つけ出す研究を行っています。
将来的には、新機能・高機能をもつ生物同士を組み合わせたり、植物工場や培養装置で生産させたいと考えています。
研究材料の地衣類
研究材料の地衣類